2013年7月30日火曜日

続・ナブッコ観劇について

先にアップしました歌劇「ナブッコ」の続編を書きたいと思います。
最初に観ましたのは初演の16日〔火〕でしたが、丁度1週間後の千秋楽23日〔火〕にも出掛けてきました。

それには、私なりの一つの仮説があったからなのです。
ローマ歌劇場でのリカルド・ムーティ指揮によるG・ヴェルディの出世作
「ナブッコ」は、実は、2010~11年の間《’11年イタリア統一150年》に
出し物となっていました。

そして、今年の「ナブッコ」は、4回《7/16、18、20、23》のオーガナイズ
でした。この組み合わせ≪R/ム-ティと「ナブッコ」≫は、この短期間に同劇場にて、企画された訳ですから、もしかすると当分〔2~3年間〕の間は
観られなくなるでは、と云う思いでした。

ですから、ここは一丁思いきって今一度観てみよう、と決心した次第です。
前売りチケットを購入できずに当日券狙いで早めに劇場へ参りました。
殆ど満席で、空いているのは4階のGALLERIAだけでした。17ユ-ロ。

チョイスの余裕は有りませんでした。
オペラグラスを持参して参りましたので、GALLERIA〔相当にステージから遠いのですが〕でも、楽しむことは出来ました。

第2場と第3場とのパウザ〔休息時間〕には、態々1階に下りて、R/ムーティの譜面台を撮影してきました。これは、貴重な記録になるかも知れないとこころ浮き浮きと何枚も撮影して参りました。

左隣に座ったイタリア人シニョーラは、「ムーティは、ヴェルディにぞっこんなのよ!」と嬉しげに話してくれました。なるほど、日本でも歌舞伎通が
いるようにローマの歌劇場にも、何でも知っている”通”がいるのですネ。

このシニョーラと連れあいと思われるシニョーレは、幕の合間に必ずと言ってよいほど、「BRAVO!、BRAVI!」、「BRAVA!、BRAVE!」とステージに向かって、声援を送っておりました。

私も真似して、”ブラバー”と、初めての声援を怖々としてみました。
こんなことが出来たのも、坐った席が「GALLERIA」〔桟敷席〕だったからに違い有りません。


                               開演1時間前のローマ歌劇場広場の様子。
            

            

            ローマ歌劇場オーケストラのスナップです。
            ステージと観客席に挟まれています。


           

            フィナーレでのステージ上の出演者挨拶風景。
            中央の後をみている黒いスーツ姿の男性が
            指揮者リカルド・ムーティ。

            
                              指揮者R・ムーティの譜面〔第3場〕です。
            指揮者用の特大サイズでした。


            ”PENSIERO” 忘れがたきや 合唱の
            故郷慕う 腹からの歌
                                元鷹
               

 



2013年7月29日月曜日

ついに発見! 本の泉


”犬も歩けば棒に当る"という格言は、真に言い得て妙と、思いました。
休日はもっぱらローマの市内をあちこちと散歩して、ローマの街角情報収集に努めているのですが、時として”棒”どころか”金棒”に当ることもあります。

ナヴォナ広場に近いC.SO RINASCIMENTO を歩いていた時、水の音が、耳に入りました。何だろうと、足を止めてみれば、ずっと以前に本で知った「本の泉」がまさにそこに在りました。

早速、写真を撮って、両手ですくって泉の水を飲むとゴクンと咽喉を鳴らして胃袋へ。おもわず「あ-美味い!」。昼下がりの散歩中に泉に出逢って
飲む水の有難さは、格別です。水が豊かなローマならではの痛快さです。

前にもご紹介しておりますが、タネ本は〔ローマの泉の物語〕≪竹山博英著-集英社新書0255-D≫です。

いつも小さなデスクの片隅に置いて、楽しんでおりますが、実に詳しく分かり易くローマの数々の噴水、泉の歴史や蘊蓄を語ってくれています。

ところで、今年のローマの異常な暑さは、凄い!の一言です。
昨日もバンカレッラ(露天商)のおかみさんが、昼下がり時に、ヘキヘキしながら、「こんな暑さは、ローマで初めてさァ、参った、参った!」と嘆いていました。

しかしその分、商売の氷ついたペットボトルの売上は、絶好調の様子ではありましたが。

話しが逸れてしまいましたが、そんな訳で、ところ処に設置された噴水・泉は、なるほど市民は勿論、観光客にとりましては、砂漠のオアシス的存在
なのであります。

さて、竹山さん著の本に依りますと、本日のタイトルでご紹介の「本の泉」は、イタリア人建築家ピエトロ・ロンバルディに依るもので、学問の象徴である本と地区の紋章にある鹿の頭部を組み合わせたもの、とのこと。
(「第10章最後の泉の建築家」より一部抜粋)

今日もかなりの暑さになりそうですが、ローマの街の中に在る数々の泉、噴水は、古代から築かれてきた都市つくり《古代、中世の水道橋など》の恵みのうえに、長い歴史の中で醸成された智恵とアートの結晶とも言えます。

                               サンテウスタキオと呼ばれる地区です。
            ナヴォナ広場とパンテオンに挟まれた通りに
                造られています。この壁は、サピエンツア宮殿のもので
                1935年までローマ大学として使われていたそうです。

               
 
 アップして撮影したものです。両サイドの本は、
 まるで本物のようです。地区の紋章である鹿の
頭部もきまっていますね。
”インテリジェンス&エレガンス”なイメージを
受けます。
 
                                            泉のある通り「VIA DEGLI STADERARI」
ローマの通りには、このような石版が打ちこまれています
 
 
  生き返る ローマの盛夏 水の音や     元鷹

2013年7月28日日曜日

ドリア・パンフィーリ宮殿美術館

7月26日〔金〕憧れのドリア・パンフィーリ宮殿美術館を訪れました。
「ドリア・パンフィーリ」と云う音声は、何とお洒落なサウンドでしょうか?!
イタリア語記載では、”PALAZZO DORIA PAMPHILJ”となります。

スペルを良く見ると”PAMPHILJ”(パンフィーリ)の最後字が「J」で
終わっています。次回訪問には、なぜか尋ねてみようかと思います。

かつての宮殿(15c)は、今は美術館として一般に開放されています。
1階に上がると幾つもの部屋(SALA)で仕切られていますが、どの部屋も
これでもかと云わんばかりに絵画や彫刻で満たされています。

特に大きな特徴は、回廊の両側に所狭しと16~18世紀の絵画が、隙間なく飾られているので観る者を圧倒します。これまで尋ねた絵画館などでは、味わうことがなかった驚きでした。

中でも、カラバッジョの絵画「エジプトからの逃避途上の休息」を楽しみに
していましたので、一番奥の部屋で見つけたときには、そっと息を飲む思いでした。

カラバッジョのこの作品は、私の持つイメージ線上にあったものとは全く違った印象を受けたことは、新たな発見、新たな感動と言えます。

近くに寄ってみると、注意書きがあり、「写真複製」と。エッツ!と思いきや
入口に坐っていた学生アルバイト風の監視員に聞いてみると、9月半ばまで、北イタリアのトリノ(美術館)へ貸し出し中との回答を得ました。

それじゃ、次回は10月以降にでも再訪するか、とブツブツ心の中で自問しながら、出口へ向かいました。


ドリア・パンフィーリ宮殿美術館入口。
                場所は、目抜き通りVIA DEL CORSO、305
                     入場料金、1人11€(約1,500円)です。

               
ご覧ください!
ずらっと回廊の壁面に並ぶ絵画は圧巻の一言。
ローマに居ながら、これほどのコレクションを有する
美術館であることを知らずにおりました。
 
宮殿内のパティオ
派手さのない端正な雰囲気があり、美に酔った不整脈を
静かに癒してくれます。エンタシスの間から
オレンジが、御覧戴けますか?
 
 
日々左党 ローマの午後は 絵画酔い   元鷹

2013年7月26日金曜日

刃物研ぎ師

半年も前になるでしょうか?やはり、刃物研ぎ師のピエトロさんに突撃インタヴューをさせて頂いたことを皆さんへご紹介しました。

それ以来のことですので、先日、刃物研ぎ師の小父さんに偶然に出遭ったことが、妙に嬉しくてついつい駆け寄ってしまいました。

研ぎ師の名前は、以前の研ぎ師さんと同じ名前のピエトロさん。
出逢い場所は、日本国大使館に近いVIA・FLAVIAでした。

ピエトロさんは、仕事を終えて銜(くわ)え煙草姿でBOTTEGA(工房)となる
自転車のお掃除を熱心にしていたところでした。

私は「お邪魔しても宜しいでしょうか?」とお声を掛けさせて貰いながら、
近寄って、いくつか質問を試みました。

その1.このお仕事は何年されていらっしゃいますか?⇒21年
その2.ピエトロと云う名前の研ぎ師をご存じですか? ⇒知らない。
その3.お仕事は、このゾーン(地域)が中心ですか? ⇒SI、そうだ。

さて、刃物研ぎ師のことをイタリア語では、何と呼ぶのだろうかと気になって、いつも立ち寄るピッコロバールのアルベルトさんに尋ねてみると、
「それはね、”ARROTINO”(アッロティーノ)って言うのさ!」とメモ用紙に書いて教えてくれました。

その昔は、日本でも多くの家庭には”砥石”が用意されていて、当たり前のように刃物を研いでいたものですが、時代は変わってしまいました。

昔の話のついでにですが、やはり日本でも(正確には、私が育った田舎ででは)包丁・刃物の類を研いでくれる職人が、年に数回巡回に来てくれていた記憶があります。

当時は、多くの家庭で主婦が魚料理、肉料理と何でも自前で作っていた訳ですから、刃物磨きの需要も高かったのでしょう。

レディ・メイドの時代になって、幾何十年。
ローマの街角で見かける”刃物研ぎ師”との出逢いは、そのまま私の想い出を半世紀昔の日本に戻してくれるのです。

仕事を終えて「工房」代わりの愛車を
              手入れする研ぎ師のピエトロさん。

             
自転車は、「手作りの研き工房」です。
ピエトロさんは、職人らしいキビキビした
手つきで工房を磨き続けていました。
 
 
切れ味は オレに任せろ ピエトロだ   元鷹
 
街角に 職人生きる たくましさ      元鷹

2013年7月18日木曜日

「ナブッコ」観劇

兼ねてから、ローマ歌劇場で「ナブッコ」を観てみたいという願いが、やっと先日7月16日〔火〕に実現しました。

書き出しからオーバーな表現で恐縮ですが、合唱を楽しむ一人としましては、この演目「NABUCCO」〔正式には、NABUCODONOSOR?〕をローマ歌劇場で楽しめたことは本当に”生きていて良かった!”と。

さらには、RICCARDO MUTI が指揮を執った「ナブッコ」でしたから、終始、観る楽しみと聴く楽しみで心が騒ぎ過ぎたくらいでした。

実は、一番に楽しみにいていたシーンは、第3部第2景ユウラテス河畔での強制労働させられているユダヤの民が故国を偲んで歌う合唱歌、

”Va',pensiero ,sull'ali dorate !”〔行け、想いよ、黄金の翼に乗って!〕
でした。

情景と合唱との調和が素晴らしく、まるで自分もステージの上で合唱しているかのように、小さく口ずさんでしまいました。

さて、驚いたことに合唱が終わるや否や、劇場はブラボー!、ブラビー!
との大声援、渦巻く大拍手に歌劇場は割れんばかりとなりました。

これが、長い長い間続き、指揮者リカルド・ムーティーへの再演/アンコールのリクエストとなった次第です。これには、私も少なからずビックリ!!

指揮者は、頭を抱えるように、ゆっくりと聴衆者の方へ体を移して、静かな口調で話し出したのです。”私には、皆さんへ質問があります。”と。

R/ムーティー〕”なぜ、皆さんはこの合唱にこれほど執着されるのですか?”

会場からもこの質問には、苦笑や拍手が沸き起こりました。短いやり取りが、あったのですが、残念ですが、詳細不明で記録出来ません。

結局、すぐにこの名シーン〔ユウフラス河畔での合唱〕は、アンコールとなって、合唱曲が再演されました。

すると、天井からまるで大粒の霰《あられ》が降りだしたかのように、3色の紙片が、フラフラと舞い落ちてくるではありませんか!聴衆者へ、オーケストラ席へ、そして合唱しているステージにも。(写真ご参照)

この日の「NABUCCO」観劇は、これまでには経験できなかったオペラの
楽しさを十二分に満喫させて貰った、味わい深い体験となりました。


            緑・白・赤3色(イタリア国旗色)を使ったビラ(10×5cm)
                天井から雪・霰のように舞い降りてきた。


               

              
            ローマ歌劇場正面右側に貼りだされたポスター。
                7月12日撮影したものです。


               ヴェルディ 生誕200 「ナブッコ」は
               聞きしに勝る ブラヴィーシモ!       元鷹

                


















































































































2013年7月16日火曜日

路上の曲芸師 ニコラエ・G・ピッツ さん

今年の4月にすでにご紹介させて頂きましたが、今日は「路上の曲芸師」とタイトルを変更して”ニコラエ・G・ピッツ氏”に再登場して頂きます。

場所は、前回同様のローマテルミニ駅に近いカヴォール通りとG・アメンドラ通り交差点辺りです。12日午前9時ころでしたが、元気一杯に得意のスタイルで、ボールを頭上に高く飛ばしては、ドリブルを弾ませていました。

早速、ニコラエさんへご挨拶をしてから、4月に撮影した写真をお渡ししました。氏は、一瞬キョトンとしながらも喜んで受け取って戴けました。

この時間は、一番の交通量が多いこともあってか、封書に入った写真を
ズボンの後ポケットにさっと仕舞い込むと、ピッチへ否、路上中央へ向かって行きました。

このプロ根性と云いますか、「曲芸師」根性にはただただ頭の下がる思いで、その場を去りました。

私は、いつの間にか、ニコラエ・G・ピッツさんの応援団員になってしまいました。


            「路上の曲芸師」の活躍場所は、カヴォール通り周辺
                が多いようです。この日は、黄色のTシャツをユニフォーム
                しての出場でした。


                
 
この写真は、4月11日撮影のものです。
ニコラエさんの素晴らしいフォームをご覧ください。
氏のヘッド・ドリブルは、信号待ちのドライバーには、
ストレス解消の効果を発揮しています。
 
 
我が仕事 ピッチは路上 命がけ    元鷹

2013年7月13日土曜日

ファッキーノの噴水

ヴェネチア広場からポポロ広場へ向かって歩くコルソ通りからラタ通りへ入ると直ぐに「ファッキーノの噴水」に出遭います。

しかし、大きな広場に堂々と建つ、例えばバルベリーノ広場の「トリトーネの泉」などとは違って、「ファッキーノの泉」は、建物の一部となって組み込まれているため、ゆっくりと歩いて行かなければスッーと通り過ぎてしまいそうです。

さて噴水のデザインは、帽子を被ったおじさんが両脇で樽を抱えて、その樽中央から水がこぼれ出るようになっています。

相当の年代(1987年頃)も経ってか、顔は全体的に凹んでしまい、可哀相なくらいである。

しかし、見方によってはこの凹みが、逆にこの噴水のイメージに独特の味わいを醸し出させているのかも知れない。

ファッキーノ〔(伊)FACCHINO〕とは、①運搬人・赤帽 ②骨の折れる仕事をする人、と云った意味を指します。本(下記詳細)によればこの人物は、当時(16C)に存在した職業だった”水売り”(男)をモチーフにしています。

従って、②の意味から、水の入った樽を運びそして抱えて小分けで水を売り歩く商売をしていた「水売りの泉」と言い換えてもまんざら間違いでは無いかも知れません。

〔本のご紹介〕タイトル ローマの泉の物語
         著者   竹山 博英
         出版社 集英社新書 0255/D

場所は、VIA LATA に在ります。
                一口飲んでみましたが、冷たくて美味しい水でした。
                当時は、量り売り方式で水を売っていたのでしょうか?
                興味深いですね。


               
 
チェーンで囲まれている所が泉です。
中央にコルソ通りを走るバスが写っています。
 
 
この暑さ 水売り泉 ありがたや
      顔がなくとも いと涼しげに      元鷹
 
 
 
 

2013年7月10日水曜日

愉快な家庭雑貨品のあるお店

イタリアはやはりデザインの国と言えますが、そんな実感を味わうことが
できる家庭雑貨のお店をご紹介したいと思います。

ところは市内中央にあるベネチェア宮殿に近い〔正面右側にある通り〕
VIA DELPLEBISCITO、103 です。TEL.06-6794208
※sorelle adamoli srl 〔ソレッレ アダモリ ㈲〕 商号/ House & Kitchen

お店正面には、かまぼこ型の張り出しテントが突き出ていて、
”HOUSE & KITCHEN” と書かれた文字が目に入りますから、直ぐに
お分かりになるはずです。

メイド・イン・イタリアの家庭雑貨品を幅広く集めていて、お客の眼を
楽しませてくれています。アレッシー、R/ジノリなど、おもな俗に言うブランド系の家庭雑貨品は、しっかりと並べられています。

購入目的が無くても、食べることが好きな人、キッチンが好きな人には、
ローマにいらっしゃったら、一度はお店をご覧になるのも旅の味わいかも知れません。

お店の左側にある通りは、VIA DELLA GATTA 〔メスネコ通り〕です。
ナボナ広場、パンテノンへ通じています。お時間があれば、恰好の散歩道
でもあります。

随分とお店を褒めすぎたかも知れませんが、店主からPRを依頼された訳ではございませんので、念のために申し添えて置きます。


            外から店内を眺めるだけでも気をひきつける
                商品ばかりが眼に入ります。

            
           
 
サマーをテーマにディスプレイした
 
ショッピング・ウィンドーは、夢を運びます。
 
ゲットしたグッズをご紹介します。
                左から3つ重ねプラスティックBOX
                 1ジュース搾り器
                 2スパゲッティーの絵がついた大皿
                 3ワイン注ぎ〔お皿手前〕
                 4ソムリエナイフ
                 5日の丸付きコップ
                 6ランプ〔電池式〕  

                   ※ 〆て55ユーロの買物でした。
 


             夢を売る 家庭雑貨の 器なり   元鷹   
                 
                 
 

サンティニャツィオ・ディ・ロヨラ教会のだまし絵

今日も小雨の中ではありましたが、サンティニャツィオ・ディ・ロヨラ教会の
天井画を見る為に出掛けて参りました。

場所は、ベネツィア広場からVIA DEL CORSO へ入って50m程先を左折(VIA LATAへ入る)し、コレッジオ・ロマーノ広場を渡り歩き、すぐに
右折すれば、そこがサンティニャツィオ通りです。そして程なく直ぐに教会の在る広場へ出ることになります。

解説本(ROMA/同朋舎出版)によれば、”この教会は、1626年にルドヴィージ枢機卿が、イエズス会の創設者であるイグナティウス・ロヨラを讃えて建設した。”というものです。

また、”当初はクーポラが造られる予定だったが、計画が実現しなかったので、その場所には遠近法による「だまし絵」が描かれた。”との説明もあり。≪中央祭壇近い天井を見上げて、只管ウーン、と唸り続けました。≫

教会の正面ファザードは、シンメトリーが端正で、シンプルで美しい。
中に入って、先ず教会内を見渡してから、目的の天井画を時間を掛けて
見ることにした。

ローマでは、随分多くの教会に入ってみましたが、この教会ほど天井画の見事さに惚れ惚れとさせられたものはありませんでした。

解説本のお世話にならざるを得ないのですが、「画家アンドレア・ポッツォが、聖イグナティウスとイエズス会に捧げるために、このバロックの
天井画(1685)を描いた。」と説明しています。

正面祭壇寄りの天井に、クーポラと思いきや、はたまた一幅(?)の天井画を見て取れました。これが、名高い”だまし絵”のようです。

皆さんには、お耳慣れしない言葉かも知れません。専門的には、トロンプ・
ルイユ手法とも呼ばれるそうです。一種のトリック・アートです。

実際には、平坦な壁、天井に錯覚のアート(藝術)を描いて、まるで実際に
存在しているかのような「オモワセぶり」を見せる技法です。
だまし絵とも言っているようです。

このクーポラのだまし絵を直ぐに見破れる人は、勘が凄いと思います。
今日は、このだまし絵を観察しながら、写真を撮ったり、ある人のことを
想ったりして、教会の中で時間を過ごしてしまいました。

ある人とは、世界でも著名な日本を代表するグラフィックデザイナーだった福田繁雄さんのことです。きっと、福田さんもローマに来た時に、ここのだまし絵をまじまじと見つめたに違いない、と空想してしまいました。

「台東第九」(毎年12月に台東区民合唱団と芸大シンフォニーとの演奏会が開催される)
演奏会ポスターを福田繁雄さんが、製作されていた訳ですが、真に残念ながら、4年前にお亡くなりになりました。

台東第九演奏会の打ち上げには、頻繁に御参加下さっては、ユーモアに富んだコメントをされ、来賓者や参加者を大いに元気づけてくれました。

「グラフィックデザインは、益々社会に必要になってきますよ!」とおっしゃられたことが、まるで昨日のように想い出されてきます。

世界的なデザイナーであった福田さんは、いっこうに偉ぶらず、逆に大変気さくに私たちにお話し掛けて下さり、喜んでプログラムにサインをして下さったり、と素晴らしいお人柄だったことを懐かしく想いだした次第です。


                 堂々としたファザードに感動しました。
                    1626年ルドヴィージ枢機卿が建設した。

               
 
ローマの画家アンドレア・ポッツオが描いた
天井画。まるで空中に天使や人々が自由に
    飛び回っているかの見えてきました。
 

                       「ドーム型に見える凹みは、遠近法とアナモル
                     フォーシスを用いて、平面に描かれたものです。」
                     前述図書による。ドームの絵が、見えますか?!


                     だまし絵? ローマのトリック それ以上   
                                                 元鷹
               
          
 
 
 
 

2013年7月6日土曜日

今日から「SALDI」〔サルディ・大売り出し〕スタート!

ローマでは、本日(7月6日)から多くの商店、専門店そして唯一の百貨店/ラ・リナシェンテが、”SALDI”(特売)をスタートさせます。

春・夏物(まだ夏に入ったばかりですが)の処分市です。
詳しく調べた訳ではありませんが、概ね20%~50%引での特売です。

しかし、市場の動きに依って、40%~70%まで特売をして、他店舗以上の結果を出すように競い合ってくるのです。

通常は3~4週間後に、値引率のアップが見られるようになります。

昨日まで、100ユーロだったものが、30%或は50%で売られるのですから、消費者の気持ちは、穏やかならざるものがあります。

「良いものを1ユ-ロでも安く買う」と云う心理は、イタリア人も観光客もほぼ似たものです。さあ、今年の夏の”SALDI”では、如何なるドラマが展開されるのでありましょうか?乞う、ご期待を!

因みに、特売の意味を持つ「SALDI」(サルディ)は、{SALDO}(サルド)の
複数形であり、SALDOは①差引残高、②形容詞として、堅箇な、頑丈な
と云う意味です。


アパート近くの婦人服専門店では、
                昨日5日に”SALDI”の飾り文字が貼られました。    

               

                
               
               テルミニ駅に近いファッションブティックのショーウインドー
               海外からのお客様を意識してか、バーゲンを意味する
               外国語でバーゲンを訴求しています。   




               

                これは凄い!単純に、50%とだけ大きく赤文字で表示。
                投げ売り?近所の衣料品店、7/6今朝7時30分頃、撮影。


               あるバーゲン造反者のことば

               ”バーゲンだけど 買わずに SALDI”   

                                                                                                       元鷹
    


2013年7月3日水曜日

 魚介スープ「カチュッコ」を求めてリヴォルノへ

思い立ったら、すぐ実行!を地でやってみよう、とばかりに・・・
今日は、「リヴォルノ」へ1日遠足をやってみました。

ローマから、電車〔IC〕で北上することおよそ3時間くらいの処に「LIVORNO」という町があります。距離は、250km程度のようです。
※イタリア暮らしになれてきましたので、大分”アバウト”ですが。

なぜ、「リヴォルノ」へと言うお尋ねにお応えします。
それは、この町の名物料理「CACCIUCCO〔カチュッコ〕」を食してみよう、という好奇心があったからです。

※この町は、画家アメデオ・モディリアーニ〔1884-1920〕が生まれ育っ 
  たところとしても知られています。

因みに「CACCIUCCO」とは、魚介スープを指すこの町の名物料理とのことです。

丁度、お昼すぎに「LIVORNO CENTRALE」駅に着きました。
目指すは、ネットで推奨のあったレストラン「CANTINA NARDI」です。
駅前のバス〔NO.2〕に乗車して、約20分のところにこのレストランはありました。

肝心の魚介スープは、注文できるかと尋ねれば、今日はありません、との
カメリエリから、素っ気ない返答が返ってきました。折角来たので、こころを落ち着かせて、〔一瞬他のレストランへ行こうか、と思いながら・・・〕メニューをみつめました。

結局、”ヴォンゴレ冷やしパスタ”と”蛸とレタスのインサラータ”、そして”バカラ・フリットのオリ-ブ油漬け”を注文して、ハウスグラスワインでビアンコを頼みました。

ここでは、軽食にしておいて、「カチュッコ」の旨い処を教えて貰って、行ってみることにしようと、自己納得させて先ずはこのレストランでの昼食を楽しんでみることにしました。

セコンドまで注文しなかったのですが、お腹は一杯に膨れてしまいました。念の為に、「カチュッコ」の美味しいレストランを教えて貰って、一旦引き揚げることと致しました。

リヴォルノ市内見学をしながら、お腹の具合をみてみようかと名所を探して、散歩を楽しむことにしました。

小一時間も歩いたでしょうか、”カチュッコ”〔魚介スープ〕は、チャンスがあれば次回にでも、ということに決定せざるを得ないほど、お腹の具合はおいそれとは、調整することが出来ませんでした。残念!


            RIVORNO CENTRALE 駅の正面に
                飾られた大時計


            

            港にアンカーを下した大型フェリー客船
                      他にも大型船が2船停泊していました。


            

            16世紀にメディチ家によって造られた
          
                要塞の一部分


           

            
             
           「トスカーナ大公と4人のモーリ」が、港に
               向かって聳えています。

 
 


               リヴォルノは メディチの港 偲ばるる     元鷹