2012年12月27日木曜日

"ひかりバス" も走ります。

今夕にテルミニ駅構内〔バス発着場〕を歩いていた時、突如”光で真っ白に染まった”1台の小型バスが、まるで流星の如く目の前を走り過ぎるではありませんか。

この光装飾をあしらった小型バスは、クリスマスのシーズンにだけ一部のルートに限って運行しているようすです。12月に入って、例えばヴェネチア広場のバスストップに止まっているのを1~2回見たことがありましたが、目前を走るシーンは初めてでしたから、「いざ、鎌倉ッ!」とばかりに構内を走ってカメラを向けてしまいました。

幸いにもバスは、道路へ出る直前の信号に止まってくれていましたので、そこを〔左側ボディ〕撮影することが出来ました。共和国広場へ向かう後ろ姿もパチリ!と撮らせて貰いました。

寒空の下、”ひかりバス”〔正式な名前ではありません〕の運行は、乗客は勿論、見るものの気持ちを和らげるメンタルな効果を上げているのではないでしょうか?

この発想力と行動力は、さすがイタリア人ならではの”アイデンテティ”が潜んでいるように見えました。先に取り上げました”ひかりの天の川”もさることながら、アート・デザインへの取り組み方には、今日でもイタリアの伝統が脈々と引き継がれているように思われてなりません。


エッ!これが、乗合バス?と驚くような”ひかりバス”です。
テルミニ駅構内をスイスイ走っていました。



                颯爽とテルミニを後にして、共和国広場方面へ。
                料金は、1乗車1.5ユーロ〔170円〕です。
                お伽噺に出てくるような可愛らしいバスでした。


                ひかりバス まばたきの中 走り去る       元鷹 
 

2012年12月26日水曜日

通りのネーミング

チョット身近過ぎて、楽しいことや変わったことなどに気がつかないことが時々あります。
しかし、それは家族や友人関係だけではなく、私たちが毎日見る風景の中にもあります。

例えば、ローマの「通り」の名前には数字を上手く取り入れたり、世界の街〔国名、都市名〕を使ったり、あるいは歴史上の人物の名前を採用していることなどがあります。

数字を使った「通り」では、「9月20日通り」、「11月4日通り」などが直ぐに浮かびますし、世界の街名からは、「オーストラリア通り」、「ネパール通り」を筆頭に市内には多数あるようです。

つい嬉しくなるのは、わが日本国名を冠した通り”PASSEGGIATA GIAPPONE”〔日本の散歩道〕が、ローマのEURにあります。

人造湖の周りには、サクラが植えられており毎年4月頃には満開になります。ローマに居ながら、桜見物を楽しめるのはいかにも優雅であり、この世の贅沢であります。

湖のところどころでは、白鳥、カモ、などの水鳥たちが、スウイングするかのように湖面をスイスイと泳ぐ姿を楽しめます。

また、人物の名前をとって付けた通り名は、正に多彩であり、味わいがあります。
先ずは、音楽家ですが、ベートベン、ショパン、リストなどがあり、政治家では、ケネディ、ガンジー、リンカーンなどです。

日本の政治家を採用した通り名を探しましが、残念ながら見つかりませんでした。
ローマの「通り」のネーミングは、正に独創的かつ個性的であり、発想豊かなオリジナリティをもつものが多く、自由奔放であります。


                      EUR〔エウル〕にある”ベートベン通り”の道路標識です。
               〔2011年11月撮影〕


               ヴェルディ 行け我が想い 200年        元鷹     

2012年12月25日火曜日

コルソ通りの天の川

今夜〔24日〕はクリスマス・イヴ。
昨年に引き続きまして”VIA DEL CORSO”〔コルソ通り〕の夜景へ皆さまをご案内致しましょう。

コルソ通りはポポロ広場とヴェネチア広場を結び、多くの観光客が集うスペイン広場から、コンドッティ通りを進むと交差します。一口に申しますと、ポポロ広場の双子教会の間を走る通りです。

かつて大文豪ゲーテは、死の直前に”もっと光を!”という有名な言葉を残して逝った、ということを随分昔に何かの本で読んだことを想い出しました。

ゲーテは224年も昔、ローマ滞在中〔1787年頃〕に何とこのコルソ通りの一角に仮住まいを構えていたそうです。

”もっと光を!”と叫んだゲーテと今夜のコルソ通りの”ひかりの輝き”は、何と言う偶然な関係なのでしょうか。もっともこの辞世の句が、この”ひかりの天の川”つくりのヒントになったとは、どうぢても想像しにくいのですが・・・。

しかし、コルソ通りの”ひかりの天の川”は、聖歌「きよしこの夜」の詩の如く、

     ♫ きよし このよる ほしはひかり ♪ 

を夜空に描いたかのような清らかで無垢な美しさを醸し出していました。

ところで「きよしこの夜」の3番の詩をご存じですか?

                3〕 きよしこのよる 御子のえみに
    
                   めぐみの御代の あしたのひかり

                   かがやけり ほがらかに

やっぱり”ひかり”は私たちの希望なのですね。

どうぞ、「きよしこの夜」を口ずさみながら、下に掲載の写真をご覧願います。   

                   MERRY CHRISTMAS !    



  



 24日〔月〕19:50頃 コルソ通りの”ひかりの天の川”をヴェネチア広場側から撮影したものです。


               ヴェネチア広場のほぼ中央へ入って撮影したものです。
               天の川のような光の装飾は、ポポロ広場へ向かって細く
               なって行きます。まるで「素麺」つくりの棚のようでもあります。  

            
               ひこぼしは  寒さ忘れて コルソまで        元鷹
               むかし住む  ゲーテの願い 今ひかる       元鷹  
               

2012年12月22日土曜日

ヴェネト通りを歩く

今夕〔12/21〕は、ビットリオ・ヴェネト通り(VIA VITTORIO VENETO)を散歩しました。やや北側にあたるフィウーメ広場からボルゲーゼ公園方向へ向かい、フェリッーニ広場から城壁(アウレーリアーヌス)を抜けるルートです。

たっぷりと幅のとられたヴェネト通りは、いつもと変わらぬ落ち着いた、しかしローマには珍しいと言っても良いと思うのですが、よそよそしい表情を感じさせていた。

歩道から眺められるカッフェには、人影はまばらであった。ヴェネト通りは、映画「甘い生活」(LA DOLCE VITA)〔FEDERICO FELLINI監督1960年〕の名場面にも登場することでもよく知られています。

通りの両側には、5つ星の高級ホテルや見るからに高級な宝石・貴金属類を贅沢に飾ったショーウインドーを持つブティックが、堂々と競いあって並んでいます。

さて、ゆっくりと坂道をバルベリーニ広場に向かって歩いて行くと在伊アメリカ合衆国大使館が現れてきた。「さすがU.S.A.だ!」と感嘆に値する歴史を感じさせる建物が広大な敷地の中にドーンと居座っていた。

なるほどかつてはサヴォイ家のマルゲリータ女王のお住まいになられていたという宮殿〔館〕に相違ないと思わせる建物でした。

バルベリーニ広場とヴェネト通りとの接点に近いところには、「ハチの噴水」が置かれています。
あの天才彫刻家、バロック芸術の雄ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの手になるものであることが、手元にある観光ブックに書かれているのですが、私にはどうも違うような気がしてならないのであります。

ご存じの方も多いと思いますが、目と鼻の先にはバルベリーニ広場があり、その中央には「トリトーネの噴水」〔現在修復中〕が、聳えています。この泉もベルニーニの代表的な作品ですが、「ハチの噴水」とは、大きさは兎も角デザインの勢いが違います。

または、先にとり上げました”ボルゲーゼ美術館”のベルニーニ彫刻の圧倒するような美しさに触れた影響が残っているせいでしょうか。

私はそんな思いを寄せながら、普通だったらバルベリーニ通りを昇るのですが、今夜に限ってすぐそばにあるVIA S.NICOLA DA TOLENTINO を歩きだしました。




ヴェネト通りのとば口にある「ハチの噴水」をパチリ!
バルベリーニ家の紋章である3匹のハチが、中央、左右に見えます。
水盤と何やら文字が書かれている貝殻状のデザインは、2枚貝を象徴しています。




               映画{LA DOLCE VITA〕の舞台になったヴェネト通りの有名な
               「CAFE’ DE PARIS」です。
               青色のネオンサインが、寒さを余計に感じさせました。


               くねる道 豪華絢爛 坂下る             元鷹 
               
                

2012年12月21日金曜日

師走雑感

今年のローマの冬は、少し寒さがきついように感じます。とは言っても、昨年との単純な感覚的な意味合いでしかありませんが・・・。

クリスマスまであと4日と迫った昨今ですが、先日19日には所属していますコーラスの仲間とテベレ川に近いブレシアーニ通り沿いにある少年裁判所にある講堂(演奏会ホール?)にて、G・ヴェルディの歌劇[ナブッコ]より”VA PENSIERO”を演奏して参りました。

帰り道は、北風の中、コートの襟を立ててトボトボとジュリア通りを10分位歩き、カンポ デ フィオリ広場を抜けて、大きなバス通りに出ました。ローマのバスで、一番スリが多いと言われます有名?なバス「64」に勇気を奮い起して乗り込んで、一路テルミニ駅へ向かいました。幸いにもスリには遭わずに無事500人広場に到着出来ました。

不思議と冬の寒い夜のテルミニ駅は、照度の高い明るさと人混みのせいもあってか、何か気持ちをホットさせるものを感じました。それは丁度、東京駅や新宿駅などでは無く、上野駅で感じるあの独特の”安堵”の空気に似たものであります。

 
                    ジュリア通りの壁面には、「怪人面の噴水」があります。
                    チョット不気味ですが、面白いモチーフです。右上には
                    半月が見られます。19日午後19時頃撮影。ここから
                    カンポ・デ・フィオリ広場まで、5分位です。

                                                           
                                             VIA GIULIA 夜景
                   
               趣き深い味の在る通りです。ギャラリーが多く並ぶ
               アーティスト通りです。ローマは、夜の風景も魅力的な所が多いようです。

                  
                    
               テルミニ駅正面左側手前に残されているセルウィウス王の城壁
               の一部です。(紀元前6C)知る人ぞ知る壁です。私も知らなかった!
               アウレーリアーヌス皇帝が造った城壁は、紀元前3C頃ですから
               さらに300年位以前のものです。

                    
               同日夜8時前のテルミニ駅構内のXmasディスプレイです。
               多くのツーリストが、デジカメを向けていました。サンタが、
               ツリーを牽いている恰好です。ツリー下部に見える白いものは
               ツーリストが、思い思いに書いたサンタさんへの願いごとの紙片です。


               時はしり 終着駅に ひかり寄る            元鷹       

2012年12月18日火曜日

ボルゲーゼ美術館

ローマに住んでみると実感することが時々あります。それは、歴史が作った有形の文化遺産であり、歴史という時間そのもが在ったという無形の空間的遺産であります。

このローマの印象或はローマの街並みを、「ROMAの蜃気楼」と勝手に名付けて、楽しんでいます。

世界から訪れます殆どの観光客と言ってもよいでしょうか、ローマに在る遺跡、例えばサンピエトロ大聖堂を見て、コロッセオを見て、そしてトレビの泉を見て、驚愕し大感激してしまうのであります。そして勿論、私もその中にひとりなのですが。

紀元前からの建造物から現代までの建築物を同じ街中(空間)で見物できる都市は、世界中をみてもなかなかあるものではないと想像します。この「今昔混在のヴィジュアル体感」こそが、ローマという都市のもつ特性なのかも知れません。

さて今回のテーマは、”ボルゲーゼ美術館”です。人間が、先人が、ここまで芸術をする(変な言い回しですが)とは、と思わず唸ってしまう彫刻や絵画が、このボルゲーゼ美術館の中には在るのです。
(何度訪れましても、ただただ感動するばかりでありますが・・・)

17世紀前半に、シピオーネ・ボルゲーゼ(枢機卿であり、ベルニーニの後援者だったと言われます)が
夏の別荘として造った建物だったそうです。20世紀初の国立美術館になった伝えられています。
1Fには、彫刻作品が、2Fには絵画作品が展示されています。

特に彫刻作品のファンには、お薦めの美術館だと思っています。(尚、入館には事前の予約が必要です。)ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの彫刻作品の数々には、度肝を抜かされます。大理石が、まるで飴細工であるかのように錯覚させられるほどです。ただただ数々の作品の美に感動し、驚き、仰ぎ見るだけです。

美術館を出た後には、広大なボルベーゼ公園敷地での散歩が”美の酔いさまし”にうってつけです。
美と自然をこころから楽しめる魅力的なところが、ボルゲーゼ公園には詰まっていると言っても過言ではありません。



                    左の小片は、入場半券です。
                    ティツァーノ絵画「聖愛と俗愛」一部コピー。
                    水色は、パンフレット表紙です。


                    蜃気楼 至るところに 美の天音     元鷹

                                

2012年12月14日金曜日

スペイン広場 師走模様

あれよあれよという間に師走も14日〔金〕の朝を迎えてしまった!あれよあれよ、と言いますのも毎年12月の時間は、他の月よりも早く回っているのではないだろうか、と非科学的なことを思うほどに一日の経つのが早く感じてならないのであります。

さて、先日12日〔水〕夕刻5PMのローマ随一の賑わいどころ「スペイン広場」周辺の師走風景をお伝えしたいと思います。所用があって、メトロA/SPAGNAのスペイン広場に出てみますと、薄暗い中から
笛太鼓の賑々しい音楽、いや騒音が聞こえてきました。

本来は、反対方向にあるVIA/BABUINOへ行くはずでしたが、これは何だろうか?と踵を返して、スペイン階段へ、急ぎました。

その群衆の中から、この世の人とは思えないような美男美女のカップルの姿が、浮かび上がってきたのです。否、正確には美女美男のカップルと呼んだ方が、その情況をご理解し易いかも知れません。

もしかして、”MIS.○○○”のパレードか知らん、などと想像した次第でした。
12組のカップルは、手に手を取り合ってスペイン階段を順に上って行く雄姿、いや優雅なステップは、
なるほどお洒落なイタリア人の得意とする様(さま)であります。

そのような風景をカメラに納めている合間に、かれらの一団は、VIA/CONDOTTI(一番の老舗街が並びます)に向かって、右隣のVIA(通り)へ通り抜けてしまいました。

私は、階段下の噴水(バルカッチャの噴水)の近くに居たイタリア人のおじさん(どういう訳か、最近富に自然におじさんに訊ねることが多くなってきました)に、このフェスタ(祭り・賑わい)は何?と聞きますと、”商店街のPROPAGANDA(歳末セールの宣伝)じゃないの?”とのことでした。

人さまをハットさせることにかけては、群を抜いて才覚を発揮するイタリア人のこと、世界からの観光客の集まるここスペイン広場での「PROPAGANDA/プロパガンダ」は、周辺の老舗街の集客に、大いに一役買っていることは間違いなさそうです。オソレイリマシタ!


               スペイン階段に12組の花婿花嫁が勢ぞろい。
               映画のワンシーンのように華やかで本格的でした!


               
               その2 ローマの寒さも一瞬忘れさせてくれる程の
                    美女美男のパレードでした。

                 

               階段上がったところに位置するトリニタ教会と階段に飾られた
               クリスマス・ツリーが、階下のローマの雑踏を静かに見つめます。



               いつもローマのファッションをリードする老舗街 VIA CONDOTTI
               シャンデリアが吊らされて、ロマンティックな空間を演出しています。


               時を超え 処を超えて 師走なり          元鷹
          
               人恋し クリスマス時季 ベルが鳴る       元鷹
               

2012年12月8日土曜日

シチリアのお菓子屋さん

今年も早いもので、もう12月になってしまいました。この「早いもので・・・」という枕詞が使われるのもこの師走に多いのではないでしょうか?♫あといくつねるとおしょうがつ♪という唱歌を歌っていたのは、半世紀も前になるのか!と想像すると驚いてしまいます。人生とは、過ぎゆく時間なのかと。

さて、通勤路の途中で、アーケード(実際には、GALLERIAと呼びます)の商店街を通り抜けて会社へ向かいます。このガレッリアの真ん中に、貫録を漂わせたシチリア・パレルモのお菓子屋さんの老舗
”Pasticceria Dagnino”(パスチチェリア・ダニーノ)があります。

シチリア島パレルモが、その出身らしく店先の大きな看板には、DAGNINOというのれんの両脇にバランスよく、左頭にroma,その右側にはpalermoという所在地を入れています。(写真ご参照下さい)
場所は、共和国広場に近く、V・エマニュエレ・オーランド通りとトリノ通りに挟まれた”GALLERIA ESEDRA”(ガッレリア・エセドラ)を目指して頂ければ直ぐに分かります。

この老舗の名物は、シチリアのドルチェ(お菓子)です。
すぐにイメージが湧いてくるお菓子は、”カンノーロ”で、一番の名物菓子ではないでしょうか?!
リコッタチーズ、チョコレート、クリームなどを詰めた筒状菓子パンです。ドルチェシモです。

営業は、レストラン、バールも比較的大きく展開しています。また、お隣の店舗では、ギフトショップを展開しています。今年のXマス装飾は、アーケードを行き交う通行人の眼を引く鮮やかなカラーが見事です。(写真を撮らせて頂きましたのでご覧ください)

ローマでは、毎年12月8日~翌年1月6日をナターレ(クリスマス)期間としており、この時期が繁華街では最も人出も多くなって、買物客でまたは家族へのあるいは恋人へのレガーロ(プレゼント)を用意するための下見客で賑わいます。

かつてお正月が待ちどおしくて、ワクワクしたあの気持ちと同じように、ローマの人々はこの時期が一番こころがときめき、クリスマスまでの暫くの時間は、最も楽しい季節に違いありません。

イタリア人の話し声には、トーンに独特の深さがありますが、ナターレ直前のこのシーズンは、より深くそしてもっと張りのある通る声に聞こえるから不思議です。



               ガレッリア・エセドラ中央に店構えのあるドルチェの老舗
               Pasticceria DAGNINO ギフトショップ側の玄関口

               

               イタリアの縁起物の代表格と言っても良いでしょう。
               ピーニャ(まつかさ)を形とったオブジェ、大きさは何と
               20cm位ありました。本物に見間違えてしまいました。

               
               ギフトショップの飾り付けの素晴らしさをご覧ください。

               
               ギフトショップ左側に飾られたツリーと可愛いサンタ人形たち。
               
                  
               贈り物 ヘンリーの短編 想い出す      元鷹