(後編)
なるほどレコード店のアッレサンドロさんが教えてくれた小さな本屋さんは沿道に沿って直ぐの所にありました。特に変り映えのしない入口を持ったごく普通の本屋さんという印象でした。
ドアを押して入ってみると初老の店主が、と言いましても私より若い感じでしたから、60歳前でしょうか?常連客と思われるお客の相手をされていましたから、声をかけるタイミングをじっと待っていました。
「初めまして!」と挨拶を交わすと私は直ぐにポケットから、アッレサンドロさんから書いて貰った本の題名のメモ用紙を取り出して、店主に見て頂いたのです。
すると全ての本の在りかを何処に在るか、まるで頭の中に収まっているかのように、踵を返してレジ横の書棚上段から見つけ「エッコラ!(ハイ、こちらです)」と見せてくれたのでした。
それは5秒と掛からないほどの瞬間でしたから、私はついつい驚いてしまいました。どこの買い物でも、普段は待たされておりましたから、店主の動きはローマでは、かつて経験の無かったことであります。
私は、以前から「たなごころ」《掌》という言葉に興味を持っていたのですが
店主の仕事ぶりは、正に”掌・把握術”と呼ぶべき技(わざ)の一端だったのかも知れないと大変共感を得たのであります。
本屋さんの入口には、”LA FENICE”(不死鳥)と店名が掲げられていました。成程、上手い名前を付けたものであります。
最後にご紹介しますのは、人気のパン屋さんです。
恐らくこの通りNO.1の規模と品質を有するお店と言っても良いのでは
無いでしょうか?BAR(バール)も併設しており、この地域では憩いのパン屋さんであります。
この時期は、丁度”カーニヴァレ”と呼んでいるのですが、このシーズンならではのドルチェ(菓子類)を販売しています。特にこのお店では、ヴェニスのイメージをカタチにしてお客さまを楽しませてくれていました。
菓子パンとは思えないほどの巧みさです
カーニヴァレ・シーズンです。
何処のお菓子屋さんも大忙しです。
メルラーナ 聖堂挟む 贅沢さ
元鷹
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