ローマで4回目の盛夏を迎えました。
今年の夏は、毎日のように風鈴の音〔ね〕が、朝に昼にそして夜に、
こころの真棒まで涼しさを運んでくれるのです。
私のアパートの部屋に飾った風鈴は、少し変わっています。風鈴と云えば、南部鉄や陶製で作った鈴をイメージされるかもしれません。
風鈴は、鈴の中に吊るされた短冊が風に揺らされて、風の強弱に応じて独特の風流な音を創りだします。本体の素材によって、音は様々です。
しかし、我が家の風鈴はいつも決まった音色を聞かせてくれ、風が無くても楽しませてくれています。なぜなら、それは本物の涼しげで澄んだ風鈴音を記憶させたアイデア商品〔グリーティング・カード〕だからです。
タネを明かせば、先月7月22日に6月にローマで知り合いになった
K様ご夫妻から届いた封書の中にお手紙と共に入っていた模擬風鈴なのです。
朝顔の絵や、一つの鈴には花火の大輪が2つ、もう一つの鈴には赤い金魚が2匹描かれているのですが、何とこれらの絵、即ち朝顔・花火・金魚の3点セットが、風鈴の音色とともに相乗効果を生みだしてくれるのです。
2ケの風鈴は、縁側に掛けた簾〔すだれ〕に取り付けた風景をイメージしています。ボタンをいつでも押せばチリン、チリンと癒しの涼しげな音色を出す仕掛けです。
ですから、朝に昼に夜にとボタンを押しては風鈴の音を楽しむことが出来るのです。単純な仕掛けではありますが、何と優雅で風流なものでしょう!日本人の繊細な機転・アイデアの賜物であります。
ところで「鈴」というイメージは、私にとっては江戸時代の国学者・
本居宣長を想い出させます。確か彼の作った書斎のことを「鈴の屋」と
呼んでこよなく「鈴」を愛したという話を想い出しています。
また、彼は桜を大いに好み俳句、和歌に随分多くの作品を創ったことでも有名です。
宣長は、春は桜に心酔しながら季節を楽しみ、書斎・鈴の屋では
国学の書を紐解きつつ人生を貫いたインテリ風流人だったのかもしれない、と勝手に覚束ない想像をしております。
ベランダへ抜けるガラス戸に吊るされた
模擬風鈴の音色が、私に毎日元気をくれています。
風鈴の 音色や涼し ローマの夏
元鷹
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