さて、ラテン語”CARPE DIEM”(この日を掴め)と言う格言は、時代を下って、どのような展開をして行くのでしょうか?
意訳をしますれば、”この日を、この時を生かせ”、或は”掴んだこの時を離すな”といった意味合いになろうかと思いますが、如何でしょうか?
古〔いにしえ〕の時代から、人は誰かれなく「時」を惜しみ、その大切さを尊びながらも後世へ伝えてきたのでありましょう。
このことは古今東西、何処の国でもその国の言い回しで、人々に伝えられてきて、世界共通の価値観いや、時間感〔初めて使いましたが〕と言って良いのかも知れません。
中国は唐の時代、多くの漢詩がつくられましたが、「時の移り変わり」を歌う漢詩も多くありました。例えば、晩唐の詩人許渾〔きょこん〕の歌には、
七言絶句 / 秋思 3行、4行〔転・結句〕
高歌一曲掩明鏡 昨日少年今白頭
高歌一曲明鏡を掩〔おお〕う 昨日の少年 今は白頭
とあります。この白頭とは、白くなった頭のこと、即ち白髪〔しらが〕ですね。
時間の容赦ない速さを白髪に象徴させているのでしょうか。
五言律詩 / 春望 〔杜甫〕の七句、八句をみてみます。
白頭掻更短 白頭掻けば更に短く
軍欲不勝簪 軍て簪に勝えざらんと欲す
※軍には、さんずいが偏〔へん〕となります。
この詩は、「国破れて山河在り」で始まるよく知られた杜甫の作ですが、
ここでも「白頭」という文字が出てきます。
どちらの漢詩にも「白頭」が出ていますが、自身の年を重ねた人生を表現することばのように思えます。そのほか、漢詩には人生の時間の速さを詠んだものが多く見られます。自然と時間は、人生のテーマなのですね。
纏まらなくなりました!次回、その2.で、今一度”時を惜しんで”みたいと
思います。どうか、おつき合い願います。
本文とは関係ありませんが、4月7日
撮影のサンタンジェロ城です。
時間とは 不思議なものよ 何ぞやと
元鷹
思えばローマに暮らした日々は、一日一日がとても大切で、まさにcarpe diemの心境でした。若さゆえ掴み取り方が下手でしたが、今ならもっと上手に掴み取れるかもしれません。
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