2015年4月19日日曜日

第342話 時を惜しむ その1

さて、ラテン語”CARPE DIEM”(この日を掴め)と言う格言は、時代を下って、どのような展開をして行くのでしょうか?

意訳をしますれば、”この日を、この時を生かせ”、或は”掴んだこの時を離すな”といった意味合いになろうかと思いますが、如何でしょうか?

〔いにしえ〕の時代から、人は誰かれなく「時」を惜しみ、その大切さを尊びながらも後世へ伝えてきたのでありましょう。

このことは古今東西、何処の国でもその国の言い回しで、人々に伝えられてきて、世界共通の価値観いや、時間感〔初めて使いましたが〕と言って良いのかも知れません。

中国は唐の時代、多くの漢詩がつくられましたが、「時の移り変わり」を歌う漢詩も多くありました。例えば、晩唐の詩人許渾〔きょこん〕の歌には、

七言絶句 / 秋思 3行、4行〔転・結句〕 
            高歌一曲掩明鏡  昨日少年今白頭
             高歌一曲明鏡を掩〔おお〕う  昨日の少年 今は白頭
とあります。この白頭とは、白くなった頭のこと、即ち白髪〔しらが〕ですね。
時間の容赦ない速さを白髪に象徴させているのでしょうか。

五言律詩 / 春望 〔杜甫〕の七句、八句をみてみます。
             白頭掻更短 白頭掻けば更に短く
             軍欲不勝簪 軍て簪に勝えざらんと欲す
                      ※軍には、さんずいが偏〔へん〕となります。

この詩は、「国破れて山河在り」で始まるよく知られた杜甫の作ですが、
ここでも「白頭」という文字が出てきます。

どちらの漢詩にも「白頭」が出ていますが、自身の年を重ねた人生を表現することばのように思えます。そのほか、漢詩には人生の時間の速さを詠んだものが多く見られます。自然と時間は、人生のテーマなのですね。

纏まらなくなりました!次回、その2.で、今一度”時を惜しんで”みたいと
思います。どうか、おつき合い願います。

                               本文とは関係ありませんが、4月7日     
            撮影のサンタンジェロ城です。


            時間とは 不思議なものよ 何ぞやと
                               元鷹      

1 件のコメント:

  1. 思えばローマに暮らした日々は、一日一日がとても大切で、まさにcarpe diemの心境でした。若さゆえ掴み取り方が下手でしたが、今ならもっと上手に掴み取れるかもしれません。

    返信削除