前回のお話し(ロダン展)を少し補足させて頂きます。
ロダン(1840-1917)は、当時の多くの芸術家がそうであったように
イタリア遊学と言ったらよいのでしょうか、ルネッサンスのあるいはバロックの彫刻を眼の前にしてインスピレーションを得たと云われております。
とりわけルネッサンス初期に活躍した彫刻家ドナテロ(1386-1446)、
ミケランジェロ(1475-1564)から大きな影響を受けたそうです。
ルネッサンス時代、バロック時代(16C末~17C初)には、多くの芸術家を生んでおります。
上記の二人以外では、代表的な人だけでもブルネルスキ、ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ボッティチェリ、ティツィアーノ、G/ヴァザッリ、カラバジョ、
ボロミニ、ベルニーニ、等々多彩であります。
さて、ご紹介の「ロダン展」は、現在テルミニ駅100人広場前に位置する
テルメ・ディオクレツァーノ(古代ローマ最大の公衆浴場だった)遺跡の
一部が、ローマ国立博物館(1889年設立)になっており、その中のイヴェント会場にて開催中(5/24迄)であることは、ご案内の通りであります。
広大な遺跡の敷地の一角には、サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会があります。その正面は、「共和国広場の顔」に成っていると言えますが、
この教会は1563年と言いますから、ミケランジェロが正に晩年に設計したものです。 ※ミケランジェロ1654年没。
この教会とロダン展の会場は、同じ敷地に在ると言っても良いほどの至近距離ですが、ルネッサンス彫刻の巨匠ミケランジェロに影響を受けた近代彫刻の父ロダンの大理石彫刻がすぐ隣に展示公開されていることに、私は不思議な因縁を感じるのであります。
もう一つは、イタリアといいますか、このロダン展を企画運営したプロジェクトの藝術への奥行きの大きさに、或は芸術への寛容性と云ったものに
さすが、イタリアは芸術の国かな!と感服するのでございます。
ローマを1日でも観光された人ならご納得されることと存じますが、市内の
何処を見ても「石、石、石」の呈を成しています。またヴァチカン美術館をはじめ多くの美術館にも国宝級の彫刻を有する土地柄ではあります。
そんな情況にあっても、さらに付け加えますなら近世のフランスとイタリアとの関係性から鑑みても、ロダンを温かく迎えると言う今回のロダン展は、
相当に意味深いものであると思わざるを得ないのでございます。
どちらの国も世界に冠たる芸術の故郷でありますが、以上のことを踏まえて愚考するに後期ルネッサンスを産んだ土壌を持つここローマに藝術
に対する太っ腹さを覚え、こころからの敬意を表したくなるのであります。
ロダン展に向かう会場入口正面に立つ
「アテネ兵士とヴィーナス」(注:勝手に付けた
タイトルです)
中庭には、憩いの広場があります。
トロフィー(CANTARO)のデザインをした噴水です。
ここの静かな佇まいは格別です。ぜひご来場を!
大理石 藝術創る 鑿(のみ)ひとつ
元鷹
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