ギリシア野外劇場の見学後に、ホテルを挟んで丁度反対側に位置する
「Museo Archeologico Regionale Paolo Orsi」とやたら長い名前を冠した
博物館を尋ねました。入館料8€。
目的は、前出の和辻哲郎著「イタリア古寺巡礼」≪岩波文庫≫p・134~135の13行に書かれたシラクーサの美術館で観たという”アナディオメネのヴィーナス”の話に甚く魅かれたからであります。
しかし、文庫には博物館/美術館の名前・ところなどは書かれていませんでした。また、90年前のシラクーサでのどこかの美術館での印象記ですから、一体どこにあるのかしらと不安もありました。
しかし、念ずれば通ずの云われではございませんが、他に読んだ参考本やサラクーサ市内での情報に依って、上記の博物館に展示されていることが分かった時は、胸を撫で下ろしました。
博物館に入るまでのアプローチもたっぷりとしていて、まるで公園の中を
歩いているようでした。エントランスもりっぱでしたが、先ずは建物の大きさにビックリです。
氏は、先の本のなかで次のように紹介しています。〔p・1357行~10行〕
”しかしこれだけの女体像は、ギリシア以後の時代ではなかなか見られ
るものではない。この像の前に立ってながめていると、ローマの[カピトリノのヴィナス]よりもあるいはこの方がいいかも知れない、という気持ちがした。”
私は、昨年秋だったと思いますが、ローマの[カピトリノのヴィナス]を観て、
感嘆の至りでしたので、氏のことばにただただ畏れ入って、そのヴィーナスを探してみよう、観てみよう、という動機づけになった訳です。
館内は、Aゾーン~Dゾーンまで、4つの部屋割で構成されておりました。
其々のゾーンには、シラクーサにおけるギリシアの文化や歴史を充分に
紹介してくれていました。
AからCゾーンまでは、急ぎ足で観て回ることにして、Dゾーンに展示されているあこがれのヴィーナスへ向かいました。
ヘレニスティック時代[紀元前3~1世紀]の作と云われているそうですが、この博物館の名物であるヴィーナスの置かれた部屋は、特別室と
いった空気が流れていました。
ギリシア彫刻のヴィーナスに近づき、この旅行のために新調したデジカメのシャッターを切りながら、美への畏敬の念を抱きながらも溜息をすることしか他はありませんでした。
博物館外門から入口までのアプローチです。
旗が見える場所が、エントランスとなります。
黒地と土色のコントラストは、今見ても新鮮です。
そして、デザインはエレガントさを感じさせます。
ギリシア文明の質の高さには、ただ驚くばかりです。
”アナディオメネのヴィーナス”
紀元前3~1世紀の大理石彫刻
ヴィーナス左側から撮影
ギリシアの 女神ヴィーナス 目の前に
じっと動けず 只釘付けに 元鷹
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