さて、第330話後編では歌劇場の座席に纏わる想い出をご紹介させて戴きたいと思います。※トスカに直接関係のないことで真に恐縮です。
確か、トスカ第一幕が終わった時でした。今、自分が座っている席は、もしかしたら、3年前の4月18日にソプラノ歌手中島啓江さんがお掛けになっていた座席だったのではないか、と不意に想い着いたのでした。
その座席とは、PLATEA≪劇場の1Fに並べられた席≫の11列32番席のことでした。ステージに向かって、PLATEA右側後方にあった一人掛けイスが、3席並んでいる中央でした。
しかし、今当時のチケットを確認しましたら、私の席は12列32番席でした。そして、今回トスカを観た席は14列26番席《通路側》でしたから、
当時中島啓江さんがお掛けになった席より3列後だった分けです。
さて、前置きが長くなりましたがお話しを続けます。
記憶を辿ってみれば、3年前《2012年》の4月18日のことです。
中島啓江さん≪以後、中島さん≫のお取り計らいだったのですが、旅行会社のKさんが当日のチケットを2枚お持ち下さったのです。
中島さん及び10余名のファンの方々とは、その日の開演時刻直前に先ほどのお席辺りで、お会いしてご挨拶と御礼を申し上げたのでした。
その際に、21年前《1994年》にローマのレストランでご一緒に撮った
記念写真のお話しをお伝えしました。確か、ビジネス・ランチのような機会だったのですが、お互い初めての出会いでした。
その場には、かつて日本でも名を馳せたニニ・ロッソ氏《トランペッター、作曲家》も同席されて居りました。驚いたことにこの年〔1994年〕の10月、氏は病に倒れて帰らぬ人となってしまったのでした。
この時の集いに、氏は私たちの為にトランペットを吹いて下さったのです。この突然のトランペット演奏には、私たちは本当に驚いて大感激したことを覚えております。以来既に21年前の昔のこととになってしまいました。
記念写真とは、食事会の後に皆さんと一緒に撮った写真のことです。
そして、私が日本に帰国した暁には、何らかのかたちでお届けさせて頂くことを、開演前に中島さんにお約束したのでした。
話は戻って、その日《2012年4月18日》の演目は、「セビリアの理髪師」《初日》でしたが、舞台美術からして華やかで陽気な舞台を愉しんだことを思い出します。
私の前〔11列32席〕にお掛けでいらした中島さんが、終始ご熱心に笑顔でステージを楽しまれて居られた様子を想い出します。さて、只管残念ながら、2014年11月には、今度は中島さんが急逝されてしまいました。
21年前〔1994年〕のニニ・ロッソ氏らとの食事会、20年前〔1995年〕のブランカッチョ宮殿での中島さんの歌声、そして3年前〔2012年〕のローマ歌劇場での再会、など忘れ難いこころの想い出であります。
時々、記念写真のことを想い出しては、天国に逝かれた中島さんにどのようにしてお届け出来るのだろうか、と果たせぬ約束のことが脳裏から離れないで居るのです。
2012年4月18日”セビリアの理髪師”
於/ローマ歌劇場 -初日ー
中島さんから贈られた記念の入場チケット
チケットをみるたびに情景を想い出します。
目を細め 全身込めて 観る姿
プラテアの席 懐かしきかな
元鷹
0 件のコメント:
コメントを投稿