2012年2月4日土曜日

研究 マーキュリー像の謎 そのⅡ

前回のマーキュリー像のお話しを続けたいと思います。いま読み返しますと表現に曖昧なことがあり、また言いまわしもまわりくどい感がありました。ここで整理してみましょう。

大正12年8月1日 三越本店発行のお客様向け紹介冊子から抜粋です。

  マーキュリー像(高さ八尺八寸の銅像)は、伊太利人ジョバニーダ ポロニアの原型を
  模したもので、此原作は同國の国立フロレンス博物館に蔵されて居ります。
  そしてこれは千五百九十八年ローマ市のビラ メヂチの庭園内噴水の装飾として造ら
  れたもので、形状の奇抜と、技工の精練な点で、世界に有名で御座います。マーキュリー
  は御存知の如く商売の神で御座います。

  ※上記の説明書きが、私には咽喉仏にトゲが刺さったかのように長い間、気になって
    いました。

1)調べたこと&分かったこと
  2011年9月10日〔土〕 フィレンツェ訪問
  上記の「国立フロレンス博物館」とは、現在の「国立博物館バルジェロ」であること。
   ※ 所在地 via del Proconsolo,4   フィレンツェSMN駅から徒歩15分位
  彫刻家は、Giambologna (ジャンボローニャ)1529~1608  1598年作
  撮影しましたマーキュリー像は、三越本店に飾られたものとは違うことに後から気がつき、
  驚きました。写真を色々な角度から撮ってきましたのでご覧ください。


                    フィレンツェのBARGELLO国立博物館の1階で見つけた
                    ”飛び掛けるメルクリウス”(ジャンボローニャ作)全姿形。

                     
                    マーキュリー像を後ろ側から撮影しました。
                    後期ルネッサンス彫刻を代表するジャンボローニャの
                    心意気が右足から力強く伝わってくるようです。
 
          躍動感溢れる美しい立ち姿です。これは、同じものではないなあ、何故?
          ローマに戻って数日後、同美術館へ問い合わせてみたところ、マーキュリー像
          は、もう1点ある、との回答を得ました。私が、オリジナル(?)に逢えて余りの
          嬉しさに、全館を見て回ったのに、もう1点の作品を見逃してしまった、と言う
          ことが分かりました。三越本店のオリジナル作品との出逢いは、今少し先に
          なりそうです。又、ひとつ楽しみは春になってからご紹介できますように。

          ※1  尚、2月1日にご紹介しましたビラ・メジチ庭園内のマーキュリー像は
              上の写真のものと同一のものと言って良いくらい似ていました。

          ※2  美術工芸に不案内であるため表現に適格性が不足しているやに心配
              しております。ご容赦下さい。

          ※3  インターネットにて調べてみますと、上記の作品名は”Mercurio volante”
               (飛び掛けるメルクリウス)と紹介されています。  

          ※4  マーキュリーについて 
              ギリシア神話では全能神ゼウスの末っ子で、ヘルメスと呼ばれます。
              商業・旅人・伝令の神と言われています。
               

        
              マーキュリー やっと逢えても ちがうひと         元鷹

1 件のコメント:

  1. 熱心なご研究、ご苦労様です。川柳に「くすっ」(←笑)

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